アルコール依存症の外来治療の流れ

アルコール依存症の外来治療は、入院が必要なほど重症でない場合や、生活環境を維持しながら治療を進めたい場合に行われます。 以下に一般的な外来治療の流れをご説明します。    
1.受診前・事前相談
    いきなり受診するのが不安なとき、自分や家族が本当に受診した方がいいのか迷っているときに利用できる窓口です。
    ・ご本人様のことで、悩んでいるがどこに相談すればよいのかわからない
    ・病院に行くべきかわからない
    ・受診をご本人様にどう勧めればよいのかわからない
2.初診・診断
    依存症の専門外来を受診します。医師が以下の点を中心に診察を行います。
    ・飲酒量・飲酒歴・コントロールの状況
    ・身体的合併症(肝機能障害など)の有無
    ・精神的状態(うつ、不安、睡眠障害など)
    ・家族関係や生活環境
    必要に応じて血液検査や心理テストを行い、アルコール依存症の診断を確定します。
3.動機づけ・治療方針の説明
    1.治療の第一歩は「本人がやめたい」という意欲を持つことです。
    2.医師をはじめとした医療スタッフが、飲酒による問題点を整理し、断酒の必要性を説明します。
    3.「完全に断酒を目指す」か、「減酒から始める」かなど、本人の状態に合わせて治療目標を設定します。
    4.家族への説明や支援方針も話し合います。
4.治療開始
(1)薬物療法
    再飲酒を防ぐため、以下のような薬が使われる場合があります。
    ・断酒補助薬(例:アカンプロサート、ナルメフェンなど)
    ・抗酒薬(例:シアナミド、ジスルフィラムなど)
    不安・不眠・抑うつ症状が強い場合は、必要に応じて他の薬も併用します。
(2)精神療法・カウンセリング
    ・個別面接や認知行動療法(CBT)
    ・再飲酒を防ぐための「トリガー(誘因)」への対処法を学ぶ
    ・ストレス対処法や感情コントロールのトレーニング
(3)集団療法・自助グループ
    ・外来での治療プログラム
    ・断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)などの自助グループ参加
    → 同じ経験を持つ仲間との交流が、回復を支えます。
5.再発予防・継続支援
    ・定期的な通院
    ・家族との面談・支援(家族教育や家族会への参加)
    ・生活リズムの再構築、仕事復帰や社会復帰のサポート
    治療は長期間に及ぶこともあります。
    「断酒を続ける」=回復の継続であり、医療・福祉・家族等・仲間が支えるかたちとなります。
   

まとめ

段階 主な目的
初診~診断 現状把握と依存の自覚
治療導入期 動機づけと断酒準備
治療継続期 再飲酒防止・生活改善
維持期 断酒の定着・社会復帰

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